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「When(いつ)/Where(どこで)/Who(誰が)/What(なにをした)/Why(なぜ)」+「How(どうやって)」のことですが、これは英語を習いはじめてすぐに暗記させられることですよね。
この「Why(なぜ)」にはほかに「How come(なぜ)」という言い回しがあるのを知っていますか?
本記事では、この「Why」と「How come」、2つの「なぜ」の違いを解説します。
「Why」の意味と例文
まずは学校で一般的に習う「Why(なぜ)」の意味から。単なる疑問詞のように思えて意外と奥が深い、それが「Why」と「How come」のニュアンスです。
英英辞書で「Why」とは……
for what reason:
(なんのために)
まず第一の意味としては、こちら。おそらくこれが日本の学校教育で習う意味合いですよね。ところが、「Why」には下記のようなニュアンスが含まれることがあります。
used to express surprise or anger:
(驚きや怒りを表現するために使われる語)
どうでしょうか。意外でしたか?
もちろん「Why」という単語に必ずしも後者のような意味合いが含まれるとは限りません。なので、日常会話で普通に使っても大丈夫です。
「Why」を使った例文
英単語や表現を覚えるには、できるだけ多くの例文に触れることをおすすめします。何度も同じ単語に目を通すことで、徐々にその使い方やニュアンスがわかるようになるからです。「Why」程度のものであればそう苦労はしないかもしれませんが、難しい単語になればなるほど一回で覚えるのは無理だと思っておきましょう。
さて、ここで例文です。
一般的に使われる「Why」ですね。では、上記で説明した後者のとおり「驚き」や「怒り」が滲んだ「Why」とはどんな使い方をするのでしょうか?
このような場面で「Why」を使うと、なんだかちょっと苛立っている感じが含まれることになります。そうすると結局彼氏も言い返して、彼女がさらに苛立って……の悪循環です。最悪の状況ですね。
これはなにも恋人同士だけの話ではなく、例えば上司と部下、友達同士、家族間でも同じこと。時と場合によってはニュアンスから苛立ちを表してしまうこともあるんです。
この場合「なぜ」と聞かれているので一応「電車を逃した」と理由は述べていますが、それより先に苛立ちを向けられてしまったので、言い合いにまで発展してしまいました。
そんな最悪の状況を避けるための一言が、「How come」です。
「How come」の意味と例文
もしかしたら、日本で英語教育を受けた人はあまり「How come」という表現に馴染みがないかもしれません。でも実はこれ、ネイティブがかなりの頻度で使う言い回しなんです。
英英辞書で「How come」とは……
used to ask how or why something has happened:
(どのように、もしくはなぜその物事が起きたのかを尋ねるために使われる語)
英英辞書で調べてみると、長々と説明している割にあまり「Why」の使い道と変わらないような気がしますね。実際はそのとおり。日本語に訳すと、どちらも「なぜ」で間違ってはいないんです。
ただし、注意したいのは「How come」には①苛立ちのニュアンスが含まれていないということ、それから②口語的に使われる言い回しであるということです。
もし社交的な場に出たり、フォーマルな場所でプレゼンを行ったりする機会があるのであれば、「Why」を使ったほうが無難です。「How come」はもっとカジュアルなイメージ。
「How come」を使った例文
では、先ほどの「Why」で紹介した例文を使いながら例文を作ってみます。
あまり変わり映えしませんね。
単純に「なぜ」と聞きたい場合は、「Why」でも「How come」でも大差ありません。ただし、「Why」とは違って「How come」には若干、理由と一緒にそこに至るまでの経緯や原因を尋ねるニュアンスが含まれています。
上記の例でいえば、「Why」と聞かれた場合は「日本が好きだから」という答えが最適なのに対し、「How come」だと「○○(経験)ということがあって、日本を自由に旅行したいから」というように、そこに至るまでの道筋を尋ねるニュアンスがあるというわけです。
もっとも、ここらへんについてはネイティブでも「なんとなくそうしている」という程度の認識であることが多いので、慣れるまではそう難しく考える必要はありません。
なんといっても、昔ネイティブの友達にこの2つの違いを聞いたところ、「考えたことないけど……How comeのほうが後ろにくる文章が長くてもOKとか、そんな程度の違いじゃない?」とのことでした。※「Why」でも十分長い文章は作れます。
続いては、「Why」を使って恋人が言い合いに発展してしまったパターン。
この態度の違い、わかりますか?
大事なことなのでもう一度言います。
わかりますか?
「How come」には口語的である以上に、攻撃的な含みをまったく持っていないんですね。ここで「Why」を使った場合、鈍感な人はそのままスルーしてくれるかもしれませんが、少しセンシティブな人だと「今自分は遅れたことを責められているんだ」という認識になってしまうんです。
なお、「Why」同様「How come」単体で使うことも可能。下記のような場合です。
この例文だと、「別れるまでに至った原因や理由」を聞くのと同時に「驚き」の感情を表しています。ただし、それは純粋に驚いているというだけで、「Why」のようなネガティブな感情(苛立ち等)は含まれていません。
決定的な違いは文法
「Why」と「How come」の例文を見比べて、なにかに気が付きませんでしたか? そうです、この2つにニュアンス以外で決定的な違いがあるとすれば「文法」です。
ここで改めて、上記例文を並べてみましょう。
わかりましたか?
「Why」は通常の疑問文ですよね。その一方で、「How come」になると疑問文でありながら、「How come」の後ろに続くのは「完全文(=普通の文章形態)」になります。
つまり「Why」では「are you」と続くところ、「How come」では普通の文章と同じ「you are」と続いていくわけです。通常の疑問文で慣れていると、使いこなせるようになるまでは少し時間が必要かもしれませんね。
そんなときは練習あるのみ。ただ話す練習がしたいという人は低予算ではじめられる「QQEnglish」などのオンライン英会話がおすすめです。
「Why」と「How come」の使い分け
上記で解説した「Why」と「How come」の混同しがちな使い分けは、下記のとおり。
– 単純に理由を尋ねている
– 時と場合によっては「驚き」や「苛立ち」の感情が含まれる
– 語順は「Why+疑問文」
– フォーマルな場所で使える
✔ How come:
– 理由+そこに至るまでの原因や経緯を尋ねている
– 「驚き」が乗ることはあるが、「怒り」「苛立ち」のようなネガティブな感情はない
– 語順は「How come+完全文」
– 口語がメイン
慣れるまでは何度も繰り返し、積極的に使っていくしかないですね。ポロリと「How come?」と口からこぼれ落ちた日には、英語上級者の仲間入りです!